【初心者向け高配当企業分析】TAKARA&COMPANYに投資する3つの理由【参入障壁の高いビジネスモデル】

  1. 2022年5月期本決算情報を追加しました。
  2. 各グラフを更新しました。

どうも、アイクです。

今日は、TAKARA&COMPANYについて企業分析していきます。

結論としては

  1. 参入障壁が高く需要が底堅いビジネスモデル
  2. 実質無借金の安定経営
  3. たこ足配当も辞さない株主還元意識
の3つの理由から、TAKARA&COMPANYはポートフォリオ全体の安定感を高めてくれる銘柄と判断しました。

この記事では、

  1. TAKARA&COMPANYの概要
  2. TAKARA&COMPANYの営業成績
  3. TAKARA&COMPANYの財務状況
  4. TAKARA&COMPANYの配当戦略
  5. TAKARA&COMPANYの将来性
  6. 最新の業績

について解説します。

なお、本記事では、IRBANK様のデータを引用しています。

それではいってみましょう。

TAKARA&COMPANYの概要

TAKARA&COMPANYは、東京都豊島区に本社を置く創業70年の老舗で、主要なビジネスとして以下の二つを展開しています。

  1. 国や企業のディスクロージャー業務の支援
  2. グローバル展開を目指す企業を書類の翻訳や通訳により支援

企業の適切でわかりやすい情報開示を支援

ディスクロージャー業務とは、国や企業が各方面に情報公開を行うことを指し、株式会社などが公開するIR情報などもこれに含まれます。

TAKARA&COMPANYは、そういった情報公開用の資料を作成する支援をしているというわけですね。

   
自分の業績は自分が一番分かってるから情報公開するのに他人の手を借りるメリットなくない?
このように考える方も少なくないと思います。
どころで、皆さんは株式投資をするにあたりIR情報の隅から隅まで目を通していますか?
内容を理解できていますか?
私は、当ブログで企業分析記事を執筆していることもあり、一般の方よりはIR情報に目を通しているつもりです。
それでもすべての資料に目を通すことはありません
   
全部見てたら肝心の投資ができなくなるもんね
したがって、情報を公開する企業は、自分たちが伝えたい情報を効果的に伝える工夫を凝らす必要があります。
もし自分たちが公開した資料を投資家がネガティブに受け取ったら、たちまち株価が暴落して企業の活動資金が激減してしまいますからね。
   
本業じゃないからって手は抜けないね
そういった資料を作るには、業績や事業内容を把握しているだけでなく、分かりやすく目を引く資料を作成したり見た人に狙った印象を与えるための高いノウハウが必要になります。
しかし、そんなノウハウを持つ企業は多くありません。
そのため、同社のような企業に資料作成自体を依頼したり、コンサルティングを受けたりするわけです。

翻訳事業で企業のクローバル化を手助け

グローバル化を目指す企業にとって言葉の壁はけして低くありません。
   
外国語ができる人材の需要が高いのもグローバル化の流れだね
しかし、ビジネスをグローバル展開するには単に話せるだけでは足りません。
先程解説したディスクロージャー業務を各国の言語や文化などを考慮して行う必要があるからです。
   
グローバル展開するには、ビジネスで使えるハイレベルな言語力と文章力が必要だもんね
そんな人材ゴロゴロしてないだろうから専門家のコンサルは必須かも
そんな同社の取引先は、現在全上場企業の50%に相当する1900社に上り、ディスクロージャー支援ビジネスの第一人者として、非常に高いシェアを誇っています。

TAKARA&COMPANYの営業成績

売上高~アベノミクスの波に乗り順調に成長~

リーマンショック以降、日経平均株価が1万円を割るなどの暗黒期であった2013年度まで、TAKARA&COMPANYの業績は低空飛行を続けていました。

   
あの頃は、日本中から投資マネーが逃げ出してしまったし、新規上場する企業も減っていたから取引相手が増えなかったんだね
アベノミクスの効果が出始めて日経平均株価が上昇しだした2013年度からは、9期連続の増収と右肩上がりに業績を伸ばしてきました。
また、2021年度は通訳・翻訳関連ビジネスで実績のある株式会社サイマル・インターナショナルを買収し、同社の業績がプラスされたため大きく伸びていますね。
   
サイマル・インターナショナルはCOP26やG7サミットなどで実績のある企業だよ

営業利益率~7~14%の安定した収益性~

アベノミクス効果で業績が成長軌道に乗った2013年以降、TAKARA&COMPANYの営業利益率は右肩上がりに成長してきました。

最近は特に、開示書類作成ツール「X-Smartシリーズ」などの高収益商品の売れ行きが伸びており、2022年度には過去最高の営業利益率を記録しています。

2015年度に一度大きく下落してますが、これは消費税増税に伴う駆け込み需要により、前年度に受注が集中しているためです。

   
この時期はどこの企業も同じ傾向が見られますね

TAKARA&COMPANYの財務状況

自己資本比率~M&Aに伴う借入でわずかに悪化~

上のグラフを見ると、TAKARA&COMPANYの自己資本比率は少しずつ右肩下がりと嫌な形になってはいるものの、2022年度時点で75%と非常に高い水準を維持していることが分かります。

   
ここに投資するなら、右肩下がりの理由を分析しないといけないね
記録中、比較的大きく自己資本比率が低下しているのは2016年度と2020年度ですね。
簡単に解説すると以下のとおりです。
  1. 2016年度:自己株式の取得
  2. 2020年度:サイマル・インターナショナルの買収に伴う借入
2016年度に、同社は投資家への利益還元を目的とした自己株式取得のために約5億円の現金を支出しています。
企業が株式市場で自社の株式を購入すると、市場に出回る株式の総数が減るため、需要と供給の関係から株価が上昇する傾向にあります。
   
株価を上げることで投資家に利益を還元したんだね
しかし、自己株式はいくら取得しても純資産には含まれないため、使った5億円分だけ自己資本比率が悪化したということです。
2020年度は、従来から展開していた翻訳・通訳事業を強化するため、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)などで採用された実績のある株式会社サイマル・インターナショナルを買収しています。
そのための資金をねん出するために銀行等から20億円もの融資を受けたために自己資本比率が悪化しました。
   
ちなみに、翌年にはすべて完済済みだよ
2021年度以降は上昇傾向にありますが、ここ数年右肩下がりであったことは間違いないので注意深く監視する必要はあるでしょうね。

ネットD/Eレシオ~借入で悪化も余裕の実質無借金経営~

先程解説したように、TAKARA&COMPANYはビジネスの規模拡大のために借り入れを行ったりもしていますが、記録に残っている2008年度から現在まで実質無借金経営を継続しています。

企業の体力でもある内部留保は2008年度から3倍に成長し、経営の安定感は増すばかりですね。

   
それなのにわざわざ金利を取られる借入をするメリットって何なのかな?
借入というと、自己資金での経営や投資ができなくなった企業が行うイメージがありますが、同社のように財務優良な企業でも、有利な条件で借りられるときなどに借り入れを行うことがあります。
企業にとっての内部留保は、私たち投資家にとっての生活防衛資金のようなもので、未曽有の大不況などに備えて基本的には減らさないようにしておきたいものなんです。
したがって、今回の企業買収のように支払う金利以上の利益が見込める場合などは、同じ約20億円の支出でも自己資金を減らさずに融資を受ける方が合理的と判断されることがあります。
また、同社のような財務優良企業は返済が滞るリスクがほぼないため、銀行も良い条件で融資することが多いです。
   
条件が悪ければ自己資金を使えばいいだけだしね
こうしてお金持ち企業は、様々な選択肢の中から自分に都合の良いものを選択し、よりお金持ちになっていくということですね。

TAKARA&COMPANYの配当戦略

配当金~10年で2倍に成長かつ大幅な減配は無し~

TAKARA&COMPANYの配当利回りは、約3%程度で高配当株というほどではありませんが、リーマンショックを受けても大きな減配をすることなく、業績の成長に合わせて段階的に成長してきました。

2023年度の配当金は、22年度から12円増配して70円の予想となっており、今後も更なる増配に期待が持てます。

   
自己株式の取得で売買益狙いの投資家にも利益還元しているし、安心して長期保有できるね
残念な点としては、高配当株投資の対象としては利回りがあまり高くないことです。
ただこれは、優良企業で買いたい投資家がたくさんいる以上仕方がありません。
いずれくるリセッション(景気後退局面)で一瞬高配当株化した時を見逃さずにしっかり買い増したい銘柄ですね。

配当性向~好財務により一時的なたこ足配当も可能~

過去の実績を見ると、TAKARA&COMPANYは基本的に配当性向が40~50%程度になるように配当金を出す方針ようです。

しかし、リーマンショックなどの不景気時には配当性向100%超えのたこ足配当も辞さないなど、減配リスクはかなり低い印象も受けます。

   
2013年度にはさすがに減配してるけどね
取引相手が国や上場企業で株式市場が冷え込んでいる以上、配当性向90%越えが2年も続いてはさすがに無理はできなかったのでしょうね。
2020年度のコロナショックではほぼノーダメージであったことから、同社は単なる不景気というより、株式市場が冷え込んだ時に減配リスクが高まるとみることができるでしょう。

TAKARA&COMPANYの将来性

私は、TAKARA&COMPANYのビジネスは、以下の理由から今後も成長が見込めるだけでなく、需要も底堅く推移すると考えています

   
需要が無くならないのは配当金狙いの投資先として評価できるね
そう考える理由は
  1. ネットの発達で投資環境が改善し続けていること
  2. テレビ会議を利用する際のリアルタイム通訳の需要

この二つです。

素人でも理解できるIR資料が求められている

ネット証券の台頭により、私を始めとした個人投資家による投資マネーの金額は増加傾向にあり、日本政府もまたNISAやiDeCoといった非課税で投資できる制度を新設して個人投資家の増加を後押ししています。

当然、個人投資家は証券アナリストとような専門知識や情報網は持っていませんから、個人投資家の投資マネーを呼び込むには、今まで以上にIR資料の作りこみが重要になってきます。

とはいえ、業界に精通していない個人投資家でも十分に理解できるようなIR資料を作成するのは容易ではありませんから、長年にわたり多種多様な業種のディスクロージャー業務にかかわってきたTAKARA&COMPANYのノウハウが求められるはずです。

サイマル・インターナショナルの期待大

みなさんご存じのとおり、新型コロナウイルスのパンデミックによる人流の低迷により私たちの働き方は一変しました。

様々なビデオ会議やチャットアプリが登場して、海外渡航の制限などはクリアしましたが、今度は言葉の壁が大きく立ちはだかるようになってきました。

   
会議中にいちいち辞書を引くわけにいかないもんね

また、日本で外国人労働者を受け入れる体制も徐々に整ってきており、外国人労働者は今後も増加すると予想されます。

今後、コロナ禍がどのように推移するかは予想できませんが、ビジネスチャンスをつかんだり、海外の優秀な人材を取り込むために翻訳や通訳といった需要は伸びていくことが予想されます。

また、政府などを相手に事業を展開する場合、間違いは絶対に許されませんから、サイマル・インターナショナルのような確かな実績のある企業を傘下に持っていることは、他社に対する大きなアドバンテージになるでしょう。

参入障壁が高いのも配当金狙いの投資先として好評価だね

最新の業績

2022年5月期 決算短信より引用

業績~会計基準の変更で売上高が目標未達も大幅な増益~

TAKARA&COMPANYが7月8日に発表した2022年5月期本決算によると、同社はかなりの好業績だったことが分かります。

売上高は、会計基準変更の影響が思いのほか大きく当初の目標であった260億に届きませんでしたが、ディスクロージャ業務を効率化するITツールや通訳事業など高収益分野の業績が好調であったことから、営業利益は3割以上の増益となりました。

   
IT系の非製造業は原材料費高騰の影響を受けないから業績が良い方向に安定するね

同社は、ディスクロージャ事業の効率化や遠隔地との同時通訳などの需要はアフターコロナ後も伸びると予想しており、来期も増収増益を予想しています。

実際、昨今は脱炭素やワークライフバランスを達成するため、企業にDX(デジタルトランスフォーメーション)やSDGs(持続的な開発目標)に取り組むことを求める声が強くなっています。

したがって、今後もIR資料のペーパーレス化やビデオ会議等による遠隔地での同時通訳サービスに対する需要は大きくなると予想されます。

   
右肩上がりの業界だから安心して投資できるね

財務~財務状況はさらに盤石に推移~

TAKARA&COMPANYの財務状況は盤石の一言です。

簡単に説明すると以下のとおりです。

  1. 純資産が増えて(約9億円:そのうち現金等が約5億円)
  2. 借金が減った(約2億円)
この調子なら、あと2年くらいで借金完済ですね
現金等の額は過去最高を更新しており、キャッシュリッチ度が年々増しています。

配当~好業績好財務を背景に大幅増配予想~

TAKARA&COMPANYは今期の好調な業績などを理由に、配当金を今期の58円から70円へ大幅な増配予想を発表しました。
配当性向も業績予想ベースで約40%と、まだまだ増配余地もあります。
   
あくまで予想だから、その通りにならないこともあるよね?
確かに、1年後のことを正確に予測することは誰にもできません。
したがって、どんなに都合の良い数値であっても、確定するまでは油断できません。
しかし、同社は今回の増配理由について、好調な業績のほかに、十分な配当原資を保有している点を挙げています。
仮に株式の発行数が今と変わらずに推移した場合、同社が配当金の支払いに支出する金額は約9億円になります。
   
100億円を超える現金等の保有高を考えると、減配のリスクは低そうだね

まとめ

この記事では、

  1. TAKARA&COMPANYの概要
  2. TAKARA&COMPANYの営業成績
  3. TAKARA&COMPANYの財務状況
  4. TAKARA&COMPANYの配当戦略
  5. TAKARA&COMPANYの将来性
  6. 最新の業績

について解説しました。

TAKARA&COMPANYは、現状高配当株というわけではありませんが

  1. 参入障壁が高く需要が底堅いビジネスモデル
  2. 実質無借金の安定経営
  3. たこ足配当も辞さない株主還元意識
の3つの理由から、TAKARA&COMPANYはポートフォリオ全体の安定感を高めてくれる銘柄と判断しました。

TAKARA&COMPANYの企業分析は以上になります。

他の企業の銘柄分析も見たい方は、こちらの記事から飛べるようになっています。

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