【初心者向け高配当企業分析】セブン銀行に投資する3つの理由【ATMに特化した業界の異端児】

  1. グラフを最新に更新しました
  2. 2024年第1/四半期決算短信の情報を追記しました

どうも、アイクです。

今日は、セブン銀行について企業分析します。

結論としては

  1. 成長を続ける高収益ビジネス
  2. 増え続ける口座数と預金額
  3. 12年連続で減配なしの安定感

という3つの理由から、セブン銀行にはポートフォリオの主力選手となるポテンシャルがあると判断しました。

この記事では、

  1. セブン銀行の概要
  2. セブン銀行の営業成績
  3. セブン銀行の財務状況
  4. セブン銀行の配当戦略
  5. セブン銀行の将来性

について解説します。

なお、本記事では、IRBANK様のデータを引用しています。

それではいってみましょう。

セブン銀行の概要

セブン銀行と言えば、主にコンビニエンスストア最大手であるセブンイレブンに設置されているATMのことを思い浮かべない人は、日本ではほとんどいないでしょう。

セブン銀行ATMは、世界で初めて12か国語に対応したり613行もの銀行と提携するなど、非常に利便性が高いことで知られています。

セブンイレブンの営業時間中(今のところ24時間営業)ならいつでも使えるというのも魅力的ですね。

セブン銀行は、今や世界に合計26,000台ものATMを設置し、私たちの生活をお金の面で支えています。

ATMは、日本以外では主に米国、ほかにはインドネシアやフィリピンなどに進出しており、今年も全体で前年比400台以上増えています

   
生活圏によっては見ない日はないという人もいそうだね
通常、銀行業は私たちが預けたお金を企業などに貸し付けたり、国債などに投資するなどして得られる利益を収益のメインに据えています。
しかし、セブン銀行は銀行業なのに各種融資などの業務はほとんど行っていません。
実は収益の8割以上をATM利用者が支払う手数料で稼いでいます。
   
同じ銀行なのにどうしてそんなにも違うの?
なぜセブン銀行がそのほかの銀行とは異なるビジネスモデルを展開しているのかというと、親会社であるセブン&アイ・ホールディングスにとってセブン銀行ATMは、セブンイレブンなどのコンビニエンスストアの一商品という位置づけだからです。
セブンイレブンを利用するお客様にとっては、住宅ローンや融資相談ができるより、使い勝手が良い便利なATMがある方が重要ですよね。
そうした理由から高機能のATMを開発・設置してきた結果、その他の銀行とは全く異なる銀行業として成長してきました。
顧客に寄り添ってきた結果として優良企業に成長するっていうのはビジネスの理想だね

セブン銀行の営業成績

経常収益~コロナで弱点露呈か!?~

セブン銀行はリーマンショック明けの2010年ほどまで収益横ばいでしたが、ATMの設置台数が増えるにつれ、その後は順調に成長してきました。

しかし、2020年度はコロナ禍での緊急事態宣言等の影響で人々があまり出歩かなくなったことから、ATMの利用者が減少しのに伴い、収益が減少しました。

本記事を執筆している2022年2月上旬は、オミクロン株の感染爆発により再び緊急事態宣言を発する可能性が出てきています。

もしコロナの影響が長引くようなら2021年度や22年度の経常収益にも影響が出るかもしれません。

   
ATM利用者がいないと収益が上がらないからコロナ禍は逆風といえそうだね

経常利益率~マイナス金利でも揺るがない高収益率~

近年の日本ではマイナス金利を導入し、融資の利息も空前の低さとなっていることから、銀行業の収益性は軒並み低下しています。

そんな中、融資からの収益に依存しないビジネスモデルを展開している同社は、経常利益率25%を超える高い収益性を誇っています。

収益性の高さの秘訣はずばり実店舗などを持たないため固定の経費が少なくなることです。
   
ATMさえ設置できればどこでも収益を上げることが可能になるんだね
また、通常、銀行のATMでは機械への現金の補充を委託業者が行っていることが多いのですが、セブンイレブン内のATMでは機械への現金の補充を基本的にコンビニのスタッフが行っているので、委託するための経費も抑えられます。
※ スタッフの補充では足りない時や、コンビニ以外のATMではALSOKに業務委託しています。

銀行業全体の経常利益率の中央値が9.5%であることを併せて考えると、セブン銀行がいかに優秀なビジネスモデルかが分かりますね。

   
最近は海外進出で費用がかさんで利益率が下降気味だけど、十分すぎる数値をたたき出しているね

セブン銀行の財務状況

自己資本比率~銀行業の中では異常値~

銀行業の財務状況を評価する際、ほかのセクターと同じように自己資本比率だけで単純に評価することはできません。

なんせ、日本を代表する金融企業で、ここがつぶれる時は日本がつぶれる時とまで言われている三菱UFJフィナンシャルグループの自己資本比率は2022年2月時点でたったの4.8%しかありません。

   
じゃあいったい何で経営状況を評価すればいいの?
銀行業の自己資本比率が低くなる原因は、私たちの預金(資産)が銀行側の視点で見た時に負債となるからです。
自己資本比率は「純資産÷総資産(%)」で求められますから、銀行に預金(負債)が増えれば増えるほど、自己資本比率は低くなりやすいということになります。
したがって、銀行の経営状況を判断するには、自己資本比率のほかに預金額の推移をみると良いでしょう。
決算書を読むのが一番正確な情報が手に入りますが、IRBANKで確認する場合は「キャッシュフローの推移」のページで「現金等」の値を見ると分かります。。

セブン銀行の預金額は堅調に右肩上がりを続けており、その中でも自己資本比率が安定して20%前後を推移していることから、順調に内部留保を積み上げているとみることができます。

   
経営はすこぶる順調そうだね

D/Eレシオ~変動はあるものの長期的に改善傾向~

経営の健全度を測る際、銀行業以外の業種なら実質的な借金の状況を見るためにネットD/Eレシオを用いるのですが、これも銀行業については適切ではないかなと考えています。
ネットD/Eレシオの計算には企業が保有する現金等の金額を使用しますが、銀行業の場合、この現金等の金額には私たち利用者の預金が含まれるからです。
仮に銀行業のネットD/Eレシオを算出すると、ほとんどの銀行が実質無借金経営状態ということになってしまいます。
しかし、実際には預金が引き出されて使いたいときに使えない可能性があるため、経営の健全性を測るにはネットD/Eレシオよりも純資産と有利子負債で計算されるD/Eレシオの方が適切だと思ったのです。
   
私たちの大切な預金を借金返済に使われても困るからね
セブン銀行のD/Eレシオはどうなのかというと、2013年度にD/Eレシオが100%を超え、有利子負債の額が純資産を上回っていることが分かります。
有利子負債の中身は主に借入金と社債になります。
当時、セブン銀行は米国に進出するため米国のFCTI,incという企業を買収していました。
そのための費用を捻出するための一時的な借り入れだと推測できます。
   
その後、FCTI,incは米国中のセブンイレブンにATMを設置してばっちり黒字化しています
セブン銀行は、米国のほかにインドネシアやフィリピンなどにも現地の企業を買収する形で参入しており、それらの費用などをねん出するためにたびたびD/Eレシオが悪化していますが、それでも長期的にみると改善傾向にあります。
ここでもやはり、同社の経営状況は堅調に推移しているとみてよいでしょう。

セブン銀行の配当戦略

※ 2012年度は配当金額が2,063円と異常値であったためグラフから除きました。

配当金~ここ10年減配なし~

セブン銀行は、連続増配株ではないものの定期的に増配を行い、2010年度の5円から2021年度の11円まで約2.2倍に成長しています。

   
配当金は順調に成長しているんだね

また、ここ10年ほどは一度も減配することなく推移しています。

上げ下げしつつ長期的に成長する株と違い、全く下げていない配当金は安心してみていられますね。

配当性向~株主還元意識は高い~

セブン銀行の配当性向はおおむね40~50%で推移しており、まだ増配余力を残しています。

   
2022年度は65%になる予想です
また、2019年度に配当性向92.3%を記録する状況でも増配を決定するあたり、株主還元意識はかなり高いと思われます。
コロナ禍が長引いて業績が悪化するなど、配当性向が100%を超える場面でどのような判断を下すのか要チェックですね。

セブン銀行の将来性

海外進出の成功がカギ

出典:セブン銀行2022年3月期第3四半期決算説明資料

セブン銀行の今後についてですが、私は、ATM事業は日本ではあまり成長余地はないかなと思っています。

ATM事業は、利用してもらって初めて収益が発生するので、設置台数が重要になってきますが、日本ではセブンイレブンの各店舗をはじめ、すでに飽和状態にあるといえます。

これ以上設置しても逆に低収益な個体が増えるだけかもしれません。

米国も日本と同様な状態で、すでに低収益な機体の撤去に動き出しています。

   
ということは、今後は米国の収益性アップに期待できるかもね
反対に、インドネシアとフィリピンはまだ進出したばかりで成長余地が大きいと感じます。
   
設置台数も昨年から何倍にもなってるね
しばらくは設置に係る費用が嵩むでしょうが、数年後が楽しみですね。

後払い決済サービスの伸びに期待

セブン銀行は、2021年9月から新興のフィンテック企業である株式会社カンムと提携して後払い決済サービス『ポチっと』チャージを開始しました。

カンムが提供するスマホアプリ「バンドルカード」という電子決済アプリへの現金チャージやECサイト等での買い物を後払いで行うことができます。

   
クレジットカードや銀行口座を作れない人の決済手段として期待されているよ

後払い決済サービスの市場は2年後の2024年には1.5倍の約1兆9千億円に成長するといわれており、セブン銀行の日本国内における新たな収益源として期待できます。

最新の業績~予想通りの業績だが米国が足を引っ張る~

  1. 国内及びフィリピンの事業が好調で増収増益
  2. 通期業績予想を上方修正
  3. 資産の増加で財務はより強固になった
  1. 米国及びインドネシアの事業は伸び悩む
  2. クレジットカード事業は会員数キャッシング残高共に右肩下がり

営業成績

営業成績については、アフターコロナに伴う経済活動の再開や人流の増加によりATM利用が増えたことで手数料収入などが増加して増収増益となりました。

特に国内のATM事業が予想以上に好調に推移したことが業績に大きく寄与しました。

口座件数と預金残高は右肩上がりに推移しており、今後も国内ATM事業の成長が期待できます。

また、収益性の高い個人向けローン事業や後払いサービスなども年々順調に成長していることから、国内事業については特別不安視する点はありません

   
資産を築きたいなら銀行の高収益事業には関わってはいけないんだけどね。
投資家としては嬉しいけど、個人的には微妙か気持ちです。
対して、海外事業については、イマイチと言わざるを得ないでしょう。
米国では、ATMの利用件数は年々下降(2年でー15%)しています。
インドネシアにおいても、ここ2年間でATMの設置台数が約6倍に増えた反動もあってか1台あたりの利用件数は減少傾向です。
フィリピンでは、ここ2年間は1台あたりの利用件数は常に増加していましたが、利用手数料を引き上げたことが原因で今季に初めて前期比マイナスを記録しています。
今後は、米国でデビットカードや少額融資サービスの展開、インドネシアでは新たな地域でのATM設置、フィリピンでは国内大手の銀行RCBCと提携するなどビジネスの拡大や収益性の改善を図っています。
   
国内が好調なうちに立て直してほしいね

財務状況

財務状況について、資産は現金が約1300億円ほど増加したものの、負債の面でコールマネーが約1400億円、顧客からの預金額が約400億円増加したことなどから自己資本比率が低下しています。

   
負債がトータルで2千億近く増えていますが、預金も増えていますし、問題はないと判断します。
銀行株に投資するときは、他のセクターより財務諸表の中身を細かくチェックするようにしましょう。

コールマネーとは、銀行同士で資金を融通し合う場合に、コール市場を通じて借りた側の財務諸表に記載される勘定科目になります。

コール市場での借入は、預金の引き出し需要などに対応する現金が必要になった時に利用されるものであり、多くの場合で1日などのごく短期間で返済されます。

したがって、本記事を執筆している時点では、まったく異なる数値となっている可能性が高いです。

   
まぁ、そんなに気にしなくても大丈夫です
また、同社では有利子での借入に社債発行の形をとっており、本決算時における残高は前期比で変化はありませんでした。
D/Eレシオも過去最低を記録した前期末とほぼ変化はないことから財務面においても問題は特にありません。

配当戦略

配当金については、現状、本決算時に発表した年間配当金11円から変更はありません。
今回の決算では業績予想の上方修正も発表しており、それによるとEPSは32.62となり、配当性向は33.7%と過去最低になります。
こうなると期中での増配修正も期待してしまうところですが、その可能性は低いものと考えます。
その理由は、今回の上方修正は、セブン銀行が株式会社セブン・カードサービスを連結庫会社かしたことで特別利益215億円を計上したことが原因だからです。
つまり、来年以降、継続的に発生する利益ではありません。
この特別利益215億円を業績予想からのぞいた場合、EPSは14.3、配当性向は76.9%となって決して増配する余裕があるとは言えません。
仮に期中に増配を発表したとしたら、それは今年限定の増配である可能性が高いでしょう。
   
減配しなければ御の字と捉えて、配当利回りの高い時に株を買うことを徹底しましょう

まとめ

この記事では、

  1. セブン銀行の概要
  2. セブン銀行の営業成績
  3. セブン銀行の財務状況
  4. セブン銀行の配当戦略
  5. セブン銀行の将来性

について解説しました。

セブン銀行にとって、現在のコロナ禍は確実に業績にネガティブな影響を与えています。

しかしそれでも

  1. 成長を続ける高収益ビジネス
  2. 増え続ける口座数と預金額
  3. 12年連続で減配なしの安定感

という3つの理由から、私はセブン銀行にはポートフォリオの主力選手となるポテンシャルがあると判断しました。

   
親会社のセブン&アイホールディングスの業績も堅調だから安心して投資できるね

今後は、ATM事業の海外進出やキャッシュレス決済関連事業の動向に注視していきたいと思います。

セブン銀行の企業分析は以上になります。

他の企業の銘柄分析も見たい方は、こちらの記事から飛べるようになっています。

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