【初心者向け高配当企業分析】MS&ADインシュアランスに投資する3つの理由【莫大な資産が利益の源泉】

  1. 2022年第1/四半期決算を解説
  2. 各グラフを最新に更新
  3. 各種分析内容を更新

どうも、アイクです。

今日は、世界に誇る日本の損害保険会社、MS&ADインシュアランスについて企業分析していきます。

結論としては

  1. 安定感抜群のビジネスモデル
  2. アジアNo.1の損保保険シェア
  3. 2013年度以降8期連続増配
の3つの理由から、MS&ADは非常に投資価値の高い高配当銘柄と判断しました。

この記事では、

  1. MS&ADインシュアランスの概要
  2. MS&ADインシュアランスの営業成績
  3. MS&ADインシュアランスの財務状況
  4. MS&ADインシュアランスの配当戦略
  5. MS&ADインシュアランスの将来性
  6. 最新の業績

について解説します。

なお、本記事では、IRBANK様のデータを引用しています。

それではいってみましょう。

MS&ADインシュアランスの概要

MS&ADインシュアランスとは、東京海上日動に続く日本第2位の規模をほこる大手保険会社です。

同社は、リーマンショックによる世界的な大不況を背景に、経営の安定とさらなる成長を求めて三井住友海上、あいおい及びニッセイの3社が合併して2010年度に発足しました。

当時の状況については、三井住友海上が発表した2013 三井住友海上をご参照ください。

合併後は、積極的に海外へ進出し、現在ではアジア圏では損害保険会社としてNo.1の規模となっています。

アジアを始めとした新興国は、経済的な成長は見込めますが地政学リスクが高いため、そういった地域の現地企業には保険の需要は高そうですね。

地政学リスクとは、その地域が独自に抱えるリスクのことで、2022年2月現在ならウクライナやミャンマー問題、米中の貿易問題などが当てはまります。

MS&ADインシュアランスの営業成績

経常収益~発足以降右肩上がりに成長~

MS&ADインシュアランス発足の2010年度以降、同社は右肩上がりに成長してきました。

2010年度に収益が跳ね上がっているのは、三井住友海上の経常収益に、合併したあいおいやニッセイなどの収益が加算されているためです。

   
合併前の数値を見ても参考にならないから注意だね
2019年度以降は、新型コロナウイルスの影響で新規顧客獲得のための営業活動などが困難であったことから、2期連続で減収となっています。
しかし、保険という商品は、みなさんご存じのとおり年払いや月払いなど継続的に保険料の支払いが発生します。
保険会社の収益の源泉である保険料は、不景気だろうと何だろうと契約が続く限り保険会社に入ってくるため、保険業はディフェンシブ銘柄ではないものの、比較的不景気でも収益が安定する傾向にあります。
   
日本人は特に保険大好きだしね

経常利益率~利益率が低いのは損害保険の特性~

2020年度の損害保険会社の利益率は、一番高いセコム損保でも7.2%と高くないことが業界全体が抱える問題となっています。

   
だから合併とかをしてなんとか生き残りを図ってるんだね
MS&ADインシュアランスも、単年度で10%近い利益率を記録することもありますが、黒字転換以降、平気で5%程度の水準に留まっています。
また、2016年度以降、利益率に右肩下がりの傾向が見られたことも気になります。
最近は格安のネット保険を選ぶ人が増えていますし、様々なマネー系メディアで保険についてネガティブな情報が発信されていることも保険業界には逆風と言えるでしょう。
私自身、ツイッターで保険は最低限にすべきといった旨の投稿を定期的に行っています。
   
保険以外のお金に関する情報もたくさん発信してますよ
しかしながら、黒字化以降、経常利益率は低い時でも4%以上を常に確保しています。
保険料という固定収入が得られるビジネスモデルが如何に安定感抜群かがよく分かりますね。

MS&ADインシュアランスの財務状況

自己資本比率~保険業は自己資本比率が低くなる!?~

   
自己資本比率が20%にも満たないけど、長期投資して大丈夫なのかな?
上のグラフを見てこのように感じる方もおられるでしょう。
MS&ADインシュアランスの自己資本比率が低いのは、保険会社は、いざという時に保険金が支払えないという最悪の事態を避けるため、保険の種類ごとに責任準備金を積み立てることが法律で義務付けられています。
どの程度積み立てるのかは、取り扱う保険の種類や保険会社の方針などによるところなのですが、MS&ADインシュアランスは、すでに保険金として支出することが確定している支払備金と責任準備金を「負債」として総資産の実に7割以上の金額を計上しています。
自己資本比率は総資産に対する純資産の割合なので、上記の巨額な負債が影響してどうしても低い数値になってしまうのです。
   
責任準備金が無いと保険として機能しなくなるから仕方ないね
したがって、保険業については、自己資本比率の推移に目を配る方が良いと考えます。
責任準備金の増加以外の要因で自己資本比率が大きく低下する場合は、経営に何らかの問題が生じている可能性があります。
現状、同社の自己資本比率は、合併前から非常に安定していますのでこの基調が続く限りは安心してよいでしょう。

D/Eレシオ~企業買収などで数値悪化~

上のグラフを見ると、MS&ADインシュアランスは、2015年からD/Eレシオが右肩上がりになっています。

純資産は2.5兆円から3兆円あたりで安定しているので、有利子負債が増加しているということになります。

有利子負債の中身は同社が発行する社債で、過去のIR情報を見ると、使用用途は主に負債の返済や事業投資のようです。

同社は、海外進出のために世界中の現地保険会社や金融会社と資本提携などを結んでおり、その費用をねん出するために社債発行を決断したようですね。

   
上手くいけばいいけど今のところどうなの?
最新の決算短信では、昨年の90億円赤字から141億円黒字に転換しています。
さらに、すべての地域で業績が昨年より良くなっているのも好感触です。
2022年度第1/四半期では再度赤字に転落しています。
今後も好調な業績が続くかは、慎重に推移を見守る必要があるものの、2020年度以降はD/Eレシオが改善していることを見ても、同社の財務状況が深刻な状態にあるわけではなさそうです。
安心して株を長期保有できそうだね

MS&ADインシュアランスの配当戦略

配当金~連続増配継続中(現在9期)~

上のグラフを見ると、MS&ADインシュアランスは業績が安定し始めた2013年から2021年度まで9期連続で増配しています。

2022年度の予想配当金は185円と10期連続の増配を予定しており、これが履行されると配当金は10年で約3倍以上に成長したことになります。

   
年利換算で13%の凄まじい成長率だね!

配当性向~40%前後の安定水準へ~

2021年度時点では、MS&ADインシュアランスの配当性向は約60%とやや高めな数値となっています。

一般的に80%を超えると継続的な増配は難しくなると言われています。

   
事業の成長が無いとこれから苦しくなってくるかもね
とはいえ、同社ほどの大企業なら日本国内のパイはほぼ取り切っていて成長余地が無くても不思議はありません。
2022年度末時点では、世界的な株高の影響から収益が伸び、配当性向も40%前後と安定して増配が見込める水準となっています。
しかし、不況下では当然運用益が減少するため配当性向が跳ね上がることになります。
   
本業の保険販売で頑張ってほしいね
今後も連続増配が継続するかどうかは、同社の海外投資が成功するか否かにかかっていると言えるでしょう。
そういう意味では、すでにアジアNo.1の損害保険会社の地位を確立しているのはかなりの安心材料と考えます。
各地域の業績も上向いていますので、今後も連続増配には十分に期待できると思いますね。

MS&ADインシュアランスの将来性

自己資本比率のところで解説したように、保険会社は契約者に保険金を滞りなく支払えるよう、保険内容に応じた責任準備金を積み立てておくことが法律で定められています。

責任準備金は、保険会社の運用益や保険料などから一部を負債として積み立てるため、保険会社の利益を圧迫する要因となります。

したがって、今後もMS&ADインシュアランスの経常利益率が10%を超えたりすることはないと考えます。

   
ここは喜ぶところ!
利益より確実な保険金支払いを優先している証拠だからね
しかしながら、世界経済が成長するがぎり、今後も保険会社の成長余地はあると考えています。
新興国の経済が成長して現地法人の規模が大きくなると、様々なリスクに対して保険を使って備える必要が出てくるからです。
   
ビジネスの規模が大きくなると、必然的にリスクもリターンも大きくなるからね
同社は、既にアジアNo.1の損害保険会社の地位を確立していることから、アジア諸国の経済成長の恩恵を大きく受けると考えます。

最新の業績

  1. 収入保険料(経常収益)は増加傾向
  2. 海外小会社の売上が大幅アップ
  1. 米国株暴落の影響から有価証券の収益性が悪化
  2. ヨーロッパ市場の収益化が急務

MS&ADが発表した第1/四半期決算は、保険会社が景気敏感セクターであることを如実に示す内容でした。

2022年は年初から、新型コロナ対策で行われてきた金融緩和政策からの転換が各国で行われてきました。

特に米国では、6月から政策金利の上昇やFRB(連邦準備理事会)が買い入れてきた資産の売却(いわゆるバランスシートの縮小)など金融引き締め政策を積極的に行っています。

   
その結果、S&P500は第1/四半期中に16%以上下落しました
それによって、運用関係の収益率が前年同期比で11.2%も悪化しています(91.9%→81.7%)。
また、国内の保険市場に関しては、新規契約数が減少傾向にあるようです。
国内の保険市場は成熟しているので、今後の契約数像はあまり期待できないかもしれません。
   
商品一つ一つの収益性アップに期待したいね
その点で言えば、海外子会社の業績が拡大基調にあることは好材料と考えます。
   
米国はなんと4割近い増収となっています
ヨーロッパをはじめとして、収益性の改善が急務ではありますが、現状、売却を検討するほどではないと考えます。

まとめ

この記事では、

  1. MS&ADインシュアランスの概要
  2. MS&ADインシュアランスの営業成績
  3. MS&ADインシュアランスの財務状況
  4. MS&ADインシュアランスの配当戦略
  5. MS&ADインシュアランスの将来性
  6. 最新の業績

について解説しました。

保険会社は、顧客からの保険料という非常に安定した収益構造をしていますが、利益は世界の金融市場に連動する傾向にあるため、トータルで見ると景気敏感株よりと言えます。

しかしながら

  1. 安定感抜群のビジネスモデル
  2. アジアNo.1の損保保険シェア
  3. 2013年度以降8期連続増配
の3つの理由から、同社はデメリットを補って余りある非常に投資価値の高い高配当銘柄と判断しました。

MS&ADインシュアランスの企業分析は以上になります。

他の企業の銘柄分析も見たい方は、こちらの記事から飛べるようになっています。

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